墓じまいの流れや費用、見積もりについて調べたあと、「実際の墓じまいはどこに頼めばいいのだろう」と迷う方は少なくありません。
石材店へ直接依頼する方法もあれば、墓石の撤去から改葬手続き、遺骨の取り出し、その後の供養まで相談できる墓じまい代行・総合サービスもあります。条件に合う施工業者を紹介する仲介・一括見積もりサービスもあり、依頼先によって対応範囲はさまざまです。
墓じまい業者を探すときに最初に行いたいのは、業者のランキングを見ることではありません。まず現在のお墓の墓地管理者へ、工事業者を自由に選べるのか、工事にどのような条件があるのかを確認することが大切です。
そのうえで、「何を任せたいのか」を整理し、対応地域、施工体制、担当範囲、契約条件などを同じ基準で比較すると、自分の状況に合う依頼先を絞り込みやすくなります。
この記事では、墓じまいの依頼先を3タイプに整理したうえで、業者・サービスを選ぶときに確認したい7つのポイントを解説します。
墓じまい業者はどこに頼む?まず墓地のルールを確認する

墓じまい業者をインターネットで探したり、複数社から見積もりを取ったりする前に、最初に現在のお墓を管理している寺院・霊園・墓地管理者へ確認しておきたいことがあります。墓地によって工事に関するルールが異なるためです。
墓地管理者には、少なくとも次の内容を確認しておくとよいでしょう。
- 墓石撤去を行う業者を自由に選べるか
- 指定石材店・指定工事業者等があるか
- 工事前に届出や承認等が必要か
- 墓所をどの状態まで戻して返還する必要があるか
東京都消費生活総合センターも、改葬に伴うトラブルについて、墓地使用契約によっては墓地管理者が指定する石材店を利用することになっている場合があるとして、墓地の使用規則などを事前に確認するよう案内しています。
一方で、すべての墓地に指定石材店があるわけではありません。たとえば都立霊園のFAQでは、指定石材店は設けておらず、墓石を建てる際には複数の石材店を比較して自由に選べると案内されています。
つまり、「寺院墓地だから必ず指定業者がいる」「公営墓地なら全国どこでも自由に業者を選べる」といった決めつけは避けたほうがよいでしょう。墓地ごとの使用規則や工事条件を確認することが先です。
せっかく業者を比較しても、あとから「この墓地では別の石材店を使う必要があった」と分かれば、見積もりや相談をやり直すことになりかねません。
墓じまい全体をどの順番で進めるか分からない場合は、先に墓じまいの流れを確認しておくと、業者へ相談するタイミングも整理しやすくなります。
墓じまいの主な依頼先は3タイプ

墓じまいを依頼できる相手は、ひとまとめに「墓じまい業者」と呼ばれることがありますが、実際の事業形態や対応範囲は同じではありません。初心者が比較するときは、まず「石材店」「墓じまい代行・総合サービス」「仲介・一括見積もり・マッチングサービス」の3タイプに整理すると分かりやすくなります。
石材店・墓石工事業者
墓石の解体・撤去、搬出、整地など、墓所の工事を依頼する代表的な相手が石材店や墓石工事業者です。
現在のお墓を建てた石材店が分かっている場合や、墓地管理者から石材店を紹介された場合には、まず相談先になることがあります。また、地域の墓地事情や墓石工事に詳しい石材店を自分で探す方法もあります。
ただし、「石材店は墓石を撤去するだけ」とは限りません。改葬に必要な手続きの案内、遺骨の取り出し、納骨先の相談などを扱っている石材店もあります。
反対に、工事以外については自分で手配する必要がある場合もあります。名称だけで判断せず、「どこまで依頼できる石材店なのか」を確認することが重要です。
墓じまい代行・総合サービス
墓じまいに必要な複数の作業を、一つの窓口で相談できるようにしているのが墓じまい代行・総合サービスです。
サービスによっては、墓石撤去だけでなく、遺骨の取り出し、改葬手続きに関するサポート、墓地との工事調整、新しい納骨先の案内、粉骨、海洋散骨などを組み合わせて相談できる場合があります。
遠方にあるお墓を墓じまいしたい人や、「工事業者、役所、新しい供養先をそれぞれ自分で探すのは大変」と感じる人にとって、相談窓口をまとめられることは比較材料の一つになります。
ただし、「ワンストップ」「全部お任せ」と表示されていても、含まれる内容はサービスごとに異なります。どの作業まで料金や契約に含まれているのかを具体的に確認しましょう。
仲介・一括見積もり・マッチングサービス
条件を入力すると、対応可能な石材店や施工事業者を紹介してくれるタイプもあります。自分だけで地域の石材店を一社ずつ探す手間を減らせるのが特徴です。
ここで注意したいのは、問い合わせ先の会社と、実際に墓石を撤去する会社が同じとは限らないことです。
仲介型のサービスでは、窓口会社が相談を受け、その後、提携先や紹介先の施工業者が現地調査や工事を担当することがあります。
利用するときは、「誰と契約するのか」「誰が現地調査をするのか」「誰が実際に施工するのか」「工事後に問題があった場合の窓口はどこか」を確認すると、責任関係を把握しやすくなります。
墓じまい業者を選ぶ7つのポイント

依頼先のタイプが分かったら、次は具体的な候補を比較します。料金だけで決めるのではなく、現在のお墓の条件と、自分が任せたい作業に対応できるかという視点で確認することが重要です。ここでは、比較するときの基準を7つに整理します。
1.墓地のルールに対応できるか
最初のポイントは、現在のお墓がある墓地のルールに対応できるかです。
墓地管理者から指定石材店等を利用するよう求められている場合は、自由に選んだ業者へそのまま工事を依頼できない可能性があります。指定がなくても、工事時間、車両の進入、養生、工事前後の確認方法などに独自の条件が設けられている場合があります。
見積もりを依頼するときには、墓地名や所在地だけでなく、墓地管理者から伝えられている工事条件も業者へ共有しておくとよいでしょう。
2.対応地域を確認する
次に確認したいのが、現在お墓がある地域へ対応しているかです。自宅の住所ではなく、「撤去するお墓がある場所」を基準に確認します。
遠方の墓じまいでは、現地立ち会いをどこまで求められるか、写真や電話で進捗を確認できるかなども確認材料になります。
また、「全国対応」と書かれているサービスでも、全国各地を同じ会社の社員・職人だけで施工しているとは限りません。地域の提携石材店が施工する場合や、対応業者を紹介する仕組みの場合もあります。
全国対応かどうかだけでなく、「その地域では誰が対応するのか」まで確認すると、サービスの仕組みが分かりやすくなります。
3.依頼したい作業に対応しているか
墓じまいで必要になる作業は、家庭ごとに異なります。墓石を撤去して墓所を返還する工事だけを頼みたい人もいれば、改葬手続きや遺骨の新しい行き先まで相談したい人もいるでしょう。
相談前に、自分が何を任せたいのかを整理しておくと比較しやすくなります。
- 墓石の解体・撤去
- 墓石や基礎部分等の搬出・処分
- 遺骨の取り出し
- 墓所の整地・返還
- 改葬手続きに関する案内やサポート
- 新しい納骨先・永代供養先などの相談
- 粉骨・海洋散骨などの関連サービス
- 必要に応じた僧侶・供養に関する手配
すべての石材店・墓じまいサービスが上記すべてに対応しているわけではありません。また、対応していても別料金や別契約になることがあります。
墓じまい後の遺骨をどうするか決めていない場合は、業者を決める前に供養方法の選択肢も確認しておくとよいでしょう。
4.実際に誰が施工するか
問い合わせた会社と、墓石を撤去する施工会社が同じとは限りません。
自社の職人が施工する会社もあれば、地域の石材店や提携施工業者へ工事を依頼するサービス、条件に合う事業者を紹介するサービスもあります。
ここで、「自社施工だから必ず良い」「提携施工だから避けるべき」と単純に判断する必要はありません。重要なのは、施工体制が説明されていて、契約・工事・問い合わせの責任範囲が分かることです。
「工事をする会社名はいつ分かるのか」「現地調査は誰が行うのか」「施工中や施工後の連絡窓口はどこなのか」まで確認しておくと安心です。
5.誰が何を担当するか説明が明確か
墓じまいには、墓石撤去だけでなく、墓地管理者への連絡、遺骨の取り出し、改葬に関する手続き、新しい供養先の準備など複数の作業があります。
そのため、「全部お任せできます」という説明だけでは、実際の担当範囲を判断できません。
たとえば墓地管理者への工事日の連絡は利用者自身が行うのか、サービス側が調整するのか。改葬許可申請に必要な書類は利用者が集めるのか、案内してもらえるのか。遺骨は工事後どこへ引き渡されるのか、といった点を具体的に確認します。
作業ごとに「自分がすること」と「業者がすること」を分けて確認すると、契約後の行き違いを減らしやすくなります。
6.契約条件を確認できるか
工事内容だけでなく、契約条件が明確になっているかも重要です。
契約する前に、少なくとも契約相手、支払時期、工事予定時期、キャンセル条件、追加作業が発生した場合の扱い、工事完了をどのように確認するかを確認しておきましょう。
特に、問い合わせ窓口と施工業者が異なるサービスでは、「誰との契約になるのか」は確認しておきたいポイントです。
見積金額そのものを比較するときは、総額だけでなく、作業範囲や追加料金の条件を同じ基準で見ることが大切です。見積書の詳しい確認方法については、別の記事で解説しています。
墓じまい全体でどのような費用が発生する可能性があるか分からない場合は、費用の内訳も先に確認しておくと比較しやすくなります。
7.必要な専門家との連携が明確か
墓じまいには、墓石工事だけではなく行政手続きなど別の専門領域が関係することがあります。
特に確認したいのが、「改葬手続きサポート」「申請代行」などと書かれているサービスです。
同じ「手続きサポート」という表現でも、申請書の書き方を案内するだけの場合と、必要書類の取得を手伝う場合、書類作成や役所への提出を専門家が担当する場合では内容が異なります。
そのため、「行政手続きも対応」と書かれていることだけで判断せず、具体的に誰が何を行うのかを確認しましょう。
墓じまいサービスの「代行」「ワンストップ」は対応範囲を確認する

墓じまいサービスを探していると、「墓じまい代行」「一括対応」「ワンストップ」といった言葉を目にします。便利なサービスを探す手掛かりにはなりますが、この言葉だけで対応内容を判断するのは避けたほうがよいでしょう。
たとえば、あるサービスでは墓石撤去から行政手続き、納骨先の紹介まで一つの窓口で相談できても、別のサービスでは「ワンストップ」が墓石撤去と遺骨取り出しまでを意味している可能性があります。
また、窓口会社がすべての作業を自社で行っているとは限りません。実際の墓石撤去は提携石材店、行政関連の業務は提携する専門家、新しい供養は別の寺院や事業者が担当するという形もあります。
大切なのは、「ワンストップかどうか」ではなく、「自分が必要としている作業のどこまでを、誰が担当するのか」を確認することです。
サービス名や広告上の言葉ではなく、具体的な作業範囲と責任の所在を比較しましょう。
改葬手続きのサポートは誰が何をするか確認する
墓じまいに伴って遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移す場合は、改葬の手続きが関係します。墓地、埋葬等に関する法律では、改葬には市町村長の許可が必要とされており、改葬の許可は現在遺骨がある場所を管轄する市町村長が行います。
必要書類や申請方法については自治体や墓地の状況によって確認が必要なため、「全国どこでも同じ書類だけで手続きできる」と考えないようにしましょう。
業者選びで特に注意したいのは、「行政手続きサポート」と「申請書類の作成・提出代理」などを同じ意味として考えないことです。
サービスを比較するときは、次のように具体化して確認します。
- 必要書類を案内してもらえるだけなのか
- 必要書類の取得方法までサポートしてもらえるのか
- 申請書の作成を誰が行うのか
- 役所への提出を誰が行うのか
- 行政書士等の専門家が担当する場合、自社なのか提携先なのか
行政書士法では、他人から依頼を受け報酬を得て官公署に提出する書類を作成することや、行政書士が作成できる書類について官公署へ提出する手続きを代理することなどが行政書士の業務として定められています。
そのため、墓じまいサービスに「申請代行」と書かれている場合は、「サービス会社自身がすべて行う」と思い込まず、実際に誰が担当するのかを確認することが大切です。
なお、改葬許可の申請先、必要書類、基本的な流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
墓じまい業者に特別な資格は必要?
墓じまい業者を選ぶときに、「資格を持っている会社なら安心なのでは」と考えることもあるでしょう。ただし、墓じまいは一つの作業だけではなく、墓石工事、廃棄物の処理、行政手続きなど複数の領域にまたがります。
そのため、一つの「墓じまい資格」を持っているかどうかだけで、墓じまいの全工程を判断するのは適切ではありません。
たとえば、工事については工事内容や請負金額等によって建設業法上の許可制度などが関係します。国土交通省は、建設工事を営業として請け負う場合は原則として建設業許可が必要としつつ、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合には例外があると案内しています。解体工事も建設業の業種の一つです。
また、工事に伴って発生する建設廃棄物については、廃棄物処理法に沿った適正な処理が必要です。環境省の指針でも、建設工事等の元請業者が原則として排出事業者となり、処理を委託する場合には適切な収集運搬業者・処分業者への委託などが求められています。
行政手続きについては、前述したように行政書士法など別の制度が関係します。
つまり、業者を見るときは「資格があります」という一言だけではなく、実際にどの会社・専門家が工事、廃棄物処理、行政手続きなどを担当するのかを確認するほうが実務的です。
なお、お墓に関する民間資格として「お墓ディレクター」があります。一般社団法人日本石材産業協会が認定している資格で、お墓の種類や文化、石材、墓地・埋葬に関する法律、供養など幅広い知識を問う検定です。
こうした資格は、お墓について学んでいる担当者かどうかを見る一つの材料にはなりますが、墓じまいを行うための単一の国家資格として扱うものではありません。資格名だけで決めず、実際の対応内容と説明を確認しましょう。
口コミ・評判はどう参考にする?
墓じまい業者を検索すると、口コミや星評価、体験談などが見つかることがあります。実際の利用者がどのような対応を受けたかを知る参考にはなりますが、口コミだけで依頼先を決めるのは避けたほうがよいでしょう。
業者を調べるときは、まず公式サイトなどで確認できる情報と、口コミを分けて考えます。
公式情報では、運営会社、対応地域、サービス内容、料金・見積もり方法、施工体制、契約条件などを確認します。
一方、口コミは個々の利用者の経験です。同じ会社でも、墓地の条件、施工地域、担当者、依頼した作業内容などによって体験は変わります。
口コミを見る場合は、「いつ投稿されたものか」「どのサービスを利用したのか」「具体的に何が良かった・困ったと書かれているか」を確認するとよいでしょう。
星の数や口コミ件数だけで「良い業者」「悪い業者」と決めるのではなく、自分が確認したい条件について具体的な情報があるかを見ることが大切です。
墓じまい業者を選ぶ前のチェックリスト

ここまでの内容を、実際に業者へ問い合わせる前のチェックリストとしてまとめます。すべてにチェックが付く会社を「優良業者」と判定するためのものではありません。自分が確認できていない点を見つけるための質問集として使ってください。
- □ 墓地管理者へ工事業者の指定・工事条件を確認した
- □ 現在のお墓がある地域へ対応している
- □ 自分が依頼したい作業に対応している
- □ 実際に誰が墓石撤去を行うか確認した
- □ 遺骨の取り出し・整地などの担当範囲を確認した
- □ 「行政手続きサポート・代行」の具体的な内容を確認した
- □ 必要な場合、申請書作成・提出代理を誰が行うか確認した
- □ 契約相手と実際の施工業者との関係を確認した
- □ 見積内容と追加料金が発生する条件を確認した
- □ 支払時期・キャンセルなどの契約条件を確認した
- □ 工事完了後の確認方法を確認した
チェックしてみると、「見積金額は分かっているけれど施工会社が分からない」「行政手続き対応と書いてあるけれど、どこまでしてもらえるのか分からない」といった不足情報が見えてきます。
その部分を問い合わせ時に確認すれば、単純な価格比較だけでは分からない違いを整理できます。
見積内容を確認したら実際の墓じまいサービスを比較する
墓じまい業者選びで大切なのは、「一番安い会社」や「口コミ評価が高い会社」を先に探すことではありません。まず現在の墓地の条件を確認し、自分がどこまで任せたいのかを決めたうえで、その条件に合うサービスを比較することです。
比較するときは、対応地域、対応作業、施工体制、行政手続きの担当、契約条件など、この記事で紹介した同じ基準を使うと判断しやすくなります。
たとえば、墓石の撤去だけを依頼したい場合と、遠方のお墓について改葬手続きや遺骨のその後までまとめて相談したい場合では、適したサービスの形が異なります。
総合サービスの一例として、「お墓のミキワ」は公式サイトで全国対応を掲げ、提携先を活用した施工体制を案内しています。また、改葬手続きについては、提携行政書士が改葬許可申請を代行すると案内しています。これは「ワンストップ」と書かれたサービスでも、実際に誰がどの業務を担当するか確認できる例の一つです。
ただし、一つのサービスだけを見て決めるのではなく、同じ条件で複数の候補を確認することが大切です。
墓地のルールを確認する → 任せたい作業を整理する → 対応範囲と施工体制を確認する → 見積もりと契約条件を確認する、という順番で候補を絞っていきましょう。
今後、墓じまい.netでは、この記事の7つの基準を使って、実際の墓じまいサービスの対応地域・サービス内容・施工体制などを比較する記事へつなげます。
■【内部リンク:将来の「墓じまいサービス比較記事」公開後、最重要CTAとしてブログカードを挿入】




