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墓じまいを考え始めると、「墓石を撤去するだけなら、いくらくらいかかるのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
インターネットでは「1㎡あたり○万円」といった金額も見かけますが、墓石撤去の費用は墓地の広さだけで決まるものではありません。同じくらいの広さのお墓でも、墓石や外柵の量、基礎の状態、重機が使えるか、墓地までの搬出経路などによって工事内容が変わります。
大切なのは、相場の数字をひとつ覚えることではなく、「自分のお墓では何が費用に影響しそうか」を見積もり前に整理しておくことです。
この記事のポイント
- 墓石撤去費用に全国一律の価格があるわけではない
- 「1㎡あたり○万円」は目安の見方のひとつ
- 石材量・外柵・基礎・重機・搬出経路などで工事条件が変わる
- 墓地ごとの返還条件や指定石材店の有無も確認する
- 見積もり前に写真や墓地情報を用意すると条件を伝えやすい
なお、この記事では「墓じまい全体の費用」ではなく、主に墓石の解体・撤去工事に関係する費用を扱います。墓じまい全体では、改葬先や供養など別の費用も考える必要があります。
墓じまい全体でどのような費用があるのか知りたい方は、先に3011「墓じまい費用はいくらかかる?費用項目を解説」を確認しておくと整理しやすくなります。
墓石撤去の費用は一律ではない
墓石撤去には、全国どこでも同じ「標準料金」が設定されているわけではありません。石材店などが自社の料金目安を公開していることはありますが、その金額をそのまま全国共通の相場として考えるのは避けたほうがよいでしょう。
たとえば、墓地の区画が同じ広さでも、墓石本体だけの比較的シンプルなお墓と、外柵・墓誌・灯籠などの石材が多いお墓では、撤去する石材の量が違います。
さらに、トラックや重機を墓所の近くまで入れられる場所と、階段や狭い通路を通って人力で石材を運び出す必要がある場所でも、必要な作業は変わります。
つまり、墓石撤去費用を見るときは、単純に「広さはいくつか」だけではなく、何を撤去し、どのように搬出し、最後にどの状態まで戻すのかまで確認することが重要です。
ここがポイント
「平均はいくら?」だけで判断するより、まずは自分のお墓について費用が変わる条件を確認しましょう。そのほうが、実際の見積もりを受け取ったときに内容を理解しやすくなります。
墓石撤去費用には何が含まれる?
「墓石撤去費用」と書かれていても、どこまでが含まれるかは業者や墓所の状況によって異なります。
撤去工事に関係する項目としては、たとえば次のようなものがあります。
- 墓石本体の解体・撤去
- 墓誌の撤去
- 灯籠・塔婆立て・物置台などの撤去
- 外柵の撤去
- 基礎コンクリートの撤去
- カロート(納骨室)などの撤去
- 石材やコンクリートなどの搬出
- 車両による運搬
- 撤去した石材などの処理
- 重機・クレーンなどの使用
- 作業員の人件費
- 周囲のお墓を保護するための作業
- 撤去後の整地
- 墓地の返還条件に合わせた復旧
ただし、これらがすべての工事で必要になるわけではなく、すべてが必ず基本料金に含まれるわけでもありません。
実際に、石材店によっては撤去した石材などの処理を工事費に含めるケースもあれば、基礎撤去などを別項目として提示するケースもあります。そのため、「墓石撤去一式」という金額だけを見るのではなく、何が工事範囲に含まれているのかを確認することが大切です。
また、撤去工事などから発生する廃棄物については、工事を行う事業者側で関係法令に沿った適正な処理が必要です。ただし、撤去した墓石を一律にひとつの廃棄物区分として扱えるとは限らないため、利用者側では「石材・コンクリート等の搬出や処理費が見積もりに含まれているか」を確認する程度に考えると分かりやすいでしょう。
墓石撤去の費用が変わる8つの条件
ここからは、墓石撤去の見積もりを考えるうえで特に確認しておきたい8つの条件を整理します。
| 費用に影響する条件 | なぜ金額が変わる? | 見積もり前に確認すること |
|---|---|---|
| 墓石・石材量 | 撤去・搬出する石材量が変わる | 墓石本体以外の石材も確認 |
| 墓地・区画の広さ | 工事範囲の目安になる | おおよその縦横寸法 |
| 外柵・付属石材 | 撤去対象が増える | 外柵・墓誌・灯籠など |
| 基礎・カロート | 地下部分の撤去作業が変わる | 撤去範囲に含むか |
| 重機 | 作業方法や必要な機材が変わる | 墓所付近まで機械が入れるか |
| 搬出経路 | 人力運搬などの作業量が変わる | 階段・坂道・通路幅・距離 |
| 返還条件 | 撤去後に必要な復旧内容が変わる | どの状態まで戻す必要があるか |
| 指定業者 | 依頼できる業者の条件が変わる | 指定石材店制度などの有無 |
墓石・石材量
まず確認したいのが、撤去する石材の量です。
お墓というと中央の墓石本体だけを思い浮かべやすいですが、実際の墓所には竿石や台石のほか、墓誌、灯籠、塔婆立て、物置台など複数の石材が設置されていることがあります。
同じくらいの区画面積でも、石材が少ない墓所と、多くの石材で構成された墓所では、解体・搬出・運搬する量が違います。
そのため、見積もり用の写真を準備するときは墓石の正面だけではなく、墓所全体が分かる写真を用意しておくと状況を伝えやすくなります。
墓地・区画の広さ
墓地の区画面積も、撤去費用を考えるうえで重要な情報です。
石材店の料金案内では「1㎡あたり」という表記が使われることがあります。区画の広さは工事規模を把握するひとつの目安になるためです。
ただし、「区画面積×一定の単価=必ず撤去費用」ではありません。
同じ3㎡の墓所でも、外柵の有無、石材量、基礎の構造、搬出経路などが違えば、必要な作業も変わります。区画面積は重要ですが、それだけで最終金額を判断しないことがポイントです。
外柵・墓誌などの付属石材
墓所の周囲を囲む外柵や墓誌、灯籠なども確認しておきましょう。
外柵が大きい墓所では、墓石本体を撤去するだけの場合よりも撤去する石材量が増えます。墓誌や灯籠などが複数設置されている場合も同様です。
ただし、「外柵は必ず別料金」「墓誌は必ず追加料金」と決まっているわけではありません。業者によって見積もりのまとめ方が異なるため、付属石材まで撤去範囲に入っているかを確認しましょう。
基礎・カロート
墓石の下には、墓石を支える基礎コンクリートや、遺骨を納めるカロート(納骨室)などが設けられている場合があります。
地上から見えている墓石だけでは、地下部分の構造まで判断できないことがあります。基礎が厚い場合や地下構造の撤去が必要な場合には、作業内容が増える可能性があります。
ここでも重要なのは、「基礎撤去は必ず追加料金」と決めつけないことです。見積もりを依頼するときに、基礎やカロートをどこまで撤去する想定なのかを確認してください。
墓地管理者が求める返還状態によっても必要な工事範囲が変わるため、業者への確認だけでなく墓地側への確認も必要です。
重機が使えるか
墓石は重量があるため、撤去や搬出ではクレーンや小型の機械などが使われることがあります。
墓所の近くまで車両や重機を入れられる場合と、機械を近づけられず人力で運搬する場合では、作業方法が大きく変わります。
そのため、見積もり前には次のような点を確認しておくと役立ちます。
- 墓地の中へ工事車両が入れるか
- 墓所の近くまで車両を寄せられるか
- 通路に十分な幅があるか
- クレーン等を使用できそうな場所があるか
- 墓地側で車両や重機の使用ルールが定められていないか
なお、「重機が使えなければ全国一律で○万円追加」といった共通料金があるわけではありません。実際の作業方法や人数、距離などを含めて見積もりが決まります。
階段・坂道・狭い通路などの搬出経路
重機の使用可否とあわせて確認したいのが、墓石を墓所から車両まで運ぶ搬出経路です。
たとえば、山の斜面にある墓地、長い階段がある墓地、通路が狭い墓地では、石材を運び出すための作業が増えることがあります。
特に確認したいのは、階段の段数そのものだけではありません。
- 墓所から車両を停められる場所までの距離
- 階段の有無
- 急な坂道の有無
- 通路の幅
- 曲がり角や障害物
- 他のお墓との距離
「階段1段につき○円」のような料金を全国共通の基準として考えるのではなく、石材を安全にどのように運び出せる場所なのかを見ることが大切です。
整地・墓地返還の条件
墓石を撤去したあと、墓地をどの状態まで戻す必要があるのかも費用に関係します。
墓地の返還条件は、墓地・霊園ごとの規則や管理者の運用によって異なる可能性があります。「墓石だけを撤去すればよい」と自己判断せず、工事前に管理者へ確認しましょう。
たとえば名古屋市の八事霊園・愛宕霊園では、墓じまいにあたり墓地区画内の墓碑などの建造物を撤去し、工事完了後には工事業者と管理事務所で完了確認を行う流れが案内されています。
これは名古屋市立霊園の例であり、全国すべての墓地に同じルールが適用されるわけではありません。
注意
「更地にすれば全国どこでも返還できる」とは限りません。撤去する範囲、土や砂利の仕上げ、基礎の扱い、工事完了確認の有無などを墓地管理者へ確認してください。
指定石材店など墓地側の条件
墓地によっては、工事を依頼できる業者について条件が設けられている場合があります。
一方で、利用者が工事業者を選べる墓地もあります。たとえば名古屋市の八事霊園・愛宕霊園では、墓地使用者が任意の工事業者を選定して撤去工事を依頼する流れが案内されています。
つまり、「どこの墓地でも自由に石材店を選べる」「寺院墓地なら必ず指定石材店がある」といった一律の考え方はできません。
見積もりを依頼する前に、まず墓地管理者へ「工事業者の指定や条件はありますか?」と確認するのが確実です。
業者の種類そのものについて迷っている場合は、3060「墓じまい業者と石材店の違い」で役割の違いを整理しておくと判断しやすくなります。
「1㎡あたり○万円」はどう見ればいい?
墓石撤去の費用を調べると、「1㎡あたり○万円」という表記を見かけることがあります。
これは、墓所の広さから工事規模を把握するために、一部の石材店などが採用している料金の示し方です。国や自治体が定めた全国統一の料金ではありません。
実際に石材店の料金案内を見ると、1㎡を基準に目安を示しながらも、墓地の立地や石材量、廃材量、重機の使用可否などによって費用が変わると説明されています。
そのため、1㎡単価を見るときは次のように考えると分かりやすいでしょう。
- 区画の広さを把握するための「ひとつの目安」と考える
- 全国共通の公定価格とは考えない
- 面積だけを掛け算して最終金額を決めつけない
- 何が料金に含まれているか確認する
- 自分のお墓の石材量や工事条件もあわせて確認する
「1㎡単価=全国統一価格」ではありません
同じ面積でも、墓石・外柵の量、基礎、搬出経路、重機の使用可否などが違えば工事条件は変わります。単価だけで比較せず、見積もりの工事範囲まで確認しましょう。
特に広い墓所では、「1㎡の価格をそのまま面積分掛ければよい」とは限りません。石材店によって料金の算出方法も異なるため、正式な費用は個別の見積もりで確認する必要があります。
墓地規則と指定石材店を見積もり前に確認する
石材店や墓じまい業者へ連絡する前に、一度墓地管理者へ確認しておくと、見積もりが進めやすくなります。
確認しておきたい内容としては、次のようなものがあります。
- 墓石撤去工事に事前申請が必要か
- 指定石材店・指定業者の制度があるか
- 工事業者を自由に選べるか
- 工事可能な曜日・時間帯に決まりがあるか
- 工事車両や重機の使用に条件があるか
- 石材の搬出方法にルールがあるか
- どこまで撤去する必要があるか
- 墓地をどの状態まで戻す必要があるか
- 工事後の完了確認が必要か
これらは全国共通のルールではありません。公営墓地、民営霊園、寺院墓地、地域の共同墓地などで管理方法が異なることがあります。
また、「公営墓地なら撤去費用が安い」「寺院墓地なら高い」と単純に判断することもできません。費用を見るときは墓地の種類だけでなく、実際の工事条件を確認しましょう。
どこまで整地・原状回復するか確認する
墓石撤去の見積もりでは、撤去そのものだけでなく、工事後の状態も重要です。
墓石、外柵、基礎などを撤去したあとに、土を入れる、地面をならす、墓地管理者が指定する状態へ戻すなどの作業が必要になることがあります。
ここで注意したいのが、「原状回復」「更地」「整地」といった言葉だけで工事内容を判断しないことです。
墓地によって求める状態が異なる可能性があるため、管理者にはできるだけ具体的に確認しましょう。
管理者への確認例
「墓じまいで区画を返還したいのですが、墓石・外柵・基礎・カロートはどこまで撤去し、工事後はどの状態まで戻す必要がありますか?」
返還条件が分かれば、その内容を見積もりを依頼する業者にも伝えられます。墓地側が求める工事範囲と業者側の見積もり範囲がずれている状態を避けやすくなります。
正確な見積もりには墓地の状況が分かる情報を用意する
墓石撤去の費用は現場条件に左右されるため、見積もりを依頼するときは墓地の状況が分かる情報をできる範囲で準備しておきましょう。
すべてを自分で調べる必要はありません。分からない項目は、業者や墓地管理者へ確認すれば大丈夫です。
用意できると便利なのは、次のような情報です。
- 墓地・霊園・寺院などの名称
- 墓地の所在地
- 区画のおおよその縦横寸法
- 墓所全体が分かる写真
- 墓石・墓誌・外柵・灯籠などが分かる写真
- 墓所までの通路が分かる写真
- 階段や坂道がある場合はその写真
- 駐車場所から墓所までのおおよその状況
- 車両や重機が近くまで入れそうか
- 墓地管理者の連絡先
- 指定石材店・工事業者の条件
- 墓地の返還条件
写真だけで概算を案内できる業者もあれば、正式な見積もりの前に現地確認を行う業者もあります。見積もり方法は業者によって異なるため、「正式な金額を出すために何を確認するのか」も聞いておくとよいでしょう。
特に遠方のお墓では、まず写真や墓地情報を送って相談できるか確認すると、現地へ行く回数を減らせる可能性があります。
墓石撤去の見積もり前チェックリスト
ここまでの内容を、見積もりを依頼する前に確認できるチェックリストとしてまとめます。
すべて確認できてから相談する必要はありません。分かるところからチェックして、分からない部分を業者や墓地管理者へ質問するために使ってください。
見積もり前チェックリスト
□ 墓地管理者を確認した
□ 墓地の工事規則を確認した
□ 指定石材店・施工業者の条件を確認した
□ 墓所全体の写真を用意した
□ 区画のおおよその大きさを確認した
□ 墓誌・外柵・灯籠などの付属石材を確認した
□ 階段・坂道・狭い通路の有無を確認した
□ 車両・重機が近くまで入れそうか確認した
□ 基礎・カロートの扱いを見積もり時に確認する
□ 墓地をどの状態まで戻す必要があるか管理者へ確認した
この段階で大切なのは、最安値の業者を探すことではありません。まずは自分のお墓の工事条件を正しく伝えられる状態にすることです。
条件が整理できれば、見積書を受け取ったときにも「なぜこの工事が必要なのか」「どこまで含まれているのか」を確認しやすくなります。
まとめ|見積書を受け取ったら工事範囲を確認する
墓石撤去の費用は、墓地の広さだけでは決まりません。
墓石や付属石材の量、外柵、基礎・カロート、重機の使用可否、階段や坂道などの搬出経路、墓地の返還条件、指定石材店など、複数の条件によって必要な工事が変わります。
「1㎡あたり○万円」という数字も参考にはなりますが、それを全国統一の価格として考えたり、面積だけを掛け算して自分のお墓の費用を決めたりするのは避けましょう。
見積もり前に確認したいのは、「いくらが相場か」だけではなく、「自分のお墓では何が費用に影響するか」です。
- 墓所全体と石材量を確認する
- 外柵・基礎・カロートの扱いを確認する
- 重機や車両が使える環境か確認する
- 階段・坂道・狭い通路など搬出経路を確認する
- 墓地管理者へ返還条件を確認する
- 指定石材店・工事業者の条件を確認する
ここまで整理できたら、次は実際の見積書に「どの工事が含まれているか」を確認する段階です。
見積書の内訳や確認ポイントについては、3015「墓じまいの見積もりで確認するポイント」で詳しく整理しています。
さらに、見積もりを確認したあとに依頼先そのものを比較したい場合は、3048「墓じまい業者の選び方」へ進むと、依頼先選びまで順番に整理できます。



